2011年5月28日土曜日

ワークショップ概要(最新)

学生交流セッションA「未来のためのワークショップ」
現在(いま)を記述する試み —博物館で未来をめざす

1. ワークショップの概要

目の前のコンテンツとの関わり方、さらにはそこから得られた価値を社会化していくためのデザインを探る「未来のためのワークショップ」。歴史博物館をフィールドにして、調査、創造、表現、発表、ディスカッションを行う。「現在を記述する」とは何か、その意味と仕組みについて考える。情報デザイン、建築デザイン、情報工学、認知科学、教育工学など、様々な分野の学生が、専門家とともに膝を突き合わせてデザインしていく場をつくり、分野と世代を超えた交流をめざす。

2. ワークショップのテーマと内容

○テーマ:博物館、表現、未来、現在を記述する
ワークショップにおけるキーワードは、〈博物館、表現、未来、現在を記述する〉。ここでは、知の巨人と評され、さまざまな知的生産の技術を提案した梅棹忠夫にその定義を借り、メディアとしての博物館の可能性を探る。彼は、初代館長を務めた国立民族学博物館の開設10年に際し「博物館は未来をめざす」と題した講演を行った。この講演内容から、キーワードの意味をさぐってみよう。(以下、太字をつないで読むと一文になります。太字の後の「」内は梅棹の言葉です。梅棹忠夫『メディアとしての博物館』平凡社1987年

博物館とは
「博物館は情報機関であります。それぞれの分野に応じて、ひろく情報を収集し、蓄積し、変換し、創造、伝達する。そういう機関であります」
情報を収集し
「博物館は、通例はもの、すなわち実物あるいは標本類をあつめるところと理解されております。しかし、博物館があつめるのは、ものだけではなりません、ものにまつわる、あるいはものに直接関係のない、さまざまな情報こそは、博物館のもっとも重要な収集の対象であります」
事物にあたらしい意味をあたえ
「現実の世界で機能することをおわった事物も、ここであたらしい生命をあたえられて蘇生します。現にまだ機能しつつある事物も、博物館では、あたらしい意味をあたえられて、新鮮さをとりもどします」
過去現在未来を同時存在的にする
「博物館における「時間」、あるいは「とき」の構造は、世間一般における「とき」とは多少ちがっているかもしれません。博物館では「時間」は静止しているのであります。べつの表現をすれば、過去も、現在も、未来もここでは同時存在的なのであります。
未来への伝達装置であり
「博物館は、文明の過去を整理し、現在を再編成して、未来につないでゆく、そういう時代をこえた文明の伝達装置であるとわたしはかんがえています。それは単に、文明の過去の保管場所でもなく、文明のインヴェントリー、つまり財産目録づくりの場所でもありません」
表現する側があたらしい文脈にくみなおし
「博物館の本質は、単に過去をめざし、過去を復元することではありません。過去にあったもの、現に存在するものを、あたらしい観点から、あたらしい文脈にくみなおして、未来におくりだす。これが博物館の仕事であります」
受け取る側を未来の創造へむかわしめる
「博物館は、市民の知性を刺激し、人間精神を挑発することによって、未来の創造にむかわしめるための、刺激と挑発の装置でもあります」

○表現形態:展示と情報活用ツール
このワークショップでは、上記の「情報を収集し、表現する側があたらしい文脈にくみなおし、過去現在未来を同時存在的にして、未来へ伝達する」活動を行う。具体的には、参加者が身近に使用している物についての調査を行い、それを博物館にある情報と組み合わせて歴史に位置づけ、未来へ伝えるための展示として編集する。その過程で、情報を収集し活用するためのメディア(調査の仕組みや情報検索の方法などを示すツール)を開発する。すなわち、ワークショップでは、展示と情報活用ツールの2つの表現による提案をめざす。

○現在を残すとは
博物館は、価値ある物や視点を後世に残すメディアである。しかし、既存の伝え方では、今を十分に残せていとは言い切れない。未来の為に「現在を残す」とはどういうことなのか。今の価値観と後世の価値観は同じとは言えない。現在、その意味や価値が見過ごされる物にも、後世に価値を持つことがある。そしてまた、すべてを残すことは不可能であり、そこでは取捨選択が必要となってくる。「現在」を残すには、どうすればよいのだろうか。
本ワークショップにおける根源的問いは「現在を記述する意味/表現/仕組みとは?」であり、この解答を表現のプロセスを通して見いだす場をめざす。これは「博物館の可能性」と「デザインの可能性」を探る試みとなる。

○発表形式
グループごとに作成された展示作品の前での解説と、情報ツールの紹介を行う。成果のみならず、ワークショップの活動プロセス全体をふりかえり議論する。

3. 日程


6月24日(金)
10:00 京成佐倉駅 集合
10:30 国立歴史民俗博物館 ガイダンスルーム集合
グループ分け
ウォーミングアップシート記入
11:00 ワークショップの概要の説明(担当:岡本、佐藤)
11:20 フィールドワーク1:持ち物調査(担当:佐藤、原田、小早川)
12:00 ものと情報の記録 函館の事例から(川嶋稔夫/公立はこだて未来大学)
12:20 昼食(博物館のレストランは混雑が予想されます。各自ご持参ください)
13:00 フィールドワーク2:展示場調査(担当:佐藤、原田、小早川)
14:00 調査の分析とディスカッション
(グループごとに、ガイダンスルームと展示場を行き来しながら進める)
16:00 解散
博物館の閉館は16時です。一旦解散して、18:00より学会場近辺で交流会予定しています。

6月25日(土)
9:30  千葉工大津田沼キャンパス ■集合 
10:00 グループごとに表現活動(担当:佐藤、原田、小早川)
展示、情報活用ツールの開発
プレゼンテーションの準備
14:40 リフレクションシート1記入
15:00 グループの活動終了
15:10 グループごとのプレゼンテーション、全体でのディスカッション
17:00 リフレクションシート2記入
17:10 終了

4. 申し込み(5/31〆切)★定員に達しましたので、申込は閉め切りました。

事前申し込みが必要です。学会ホームページから申し込んでください。「学生交流セッションA」を選択してください。
詳細な情報は、後日メール等で本人にお知らせします。

5. 宿泊情報

宿泊は、津田沼駅周辺が便利です。
<例>
ホテルメッツ津田沼
千葉県習志野市津田沼1-1-1 / 047-473-0007

東横イン津田沼
千葉県船橋市前原西2-12-6 / 047-471-1045


6.ゲスト

川嶋稔夫(公立はこだて未来大学)

7. アドバイザー

岡本誠(公立はこだて未来大学)
原田泰(千葉工業大学)
須永剛司(多摩美術大学)
小早川真衣子(多摩美術大学CREST)
佐藤優香(国立歴史民俗博物館)
藤井晴行(東京工業大学)

以上

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